なんでもない夢と脳の能力

夢を見た。
チャリングしていた。
不思議なことに右腕が背中にロックされていて前に出て来ない。
すぐにバランスを崩して転倒する。
その度に痛い思いをする。
何度も繰り返す。
右腕はどうしても前に出て来ない。


シーンが突然変わった。
コンクリート床の広〜い部屋。漁港の市場のようだ。
何も無い。
奥に大きな水槽がある。その手前にやや小さな水槽。
銭湯の浴槽のような配置だ。
しーんとした静けさの中を水槽に近づく。

驚いたことにそこには巨大な伊勢海老、エイ、アオリイカ、名前は忘れたが
広い甲羅を背中に持つエビがいた。
大きな水槽にはより大きなエイがじーっとしている。


突然、子供達が現れた。歓声が上がっている。
じゃぶじゃぶと生き物達を追っている。


大人達が現れ、「産地直送だよ〜」と声を上げる。

一人がエイを羽交い絞めにして抱え上げ、こちらに向かってくる。
どんどん、何の迷いも無く、こちらに向かってくる。
思わず後ずさる。
どんどん向かってくる。
恐怖を感じた。
反転して逃げようとした途端、倒れた。
右腕が背中にへばりついて前に出て来ない。
それが原因だった。


顔を上げると、エイを羽交い絞めにした男や女がぐるりと囲んでいた。
恐怖は薄れ、その奇妙な光景のおかしさに思わず吹き出してしまった。ぶふっ!


そこで目が覚めた。
右肩を下にしたうつぶせで、右腕は手のひらを上に向けて捩れた状態だった。

これか、夢の中で何度も倒れた原因は。
脳が苦しさを感じて夢を見させたに違いない。そして目覚めさせた。
最初はチャリの転倒で起こそうとした。
何度も転倒させた。
それがだめとなると、怪しい雰囲気から恐怖へと進み転倒させて笑いを誘う
という手の込んだ劇を演出した。
いやはや、脳はすごい。
夢には意味があるんだと得心した。
脳は寝ていない。


◆紅葉の東長寺