ショートストーリー 「夜空に赤々な星」 本文(9)

「まさかぁ、私のおつりをあの人が、、、」
どう見ても普通の人じゃない。
少し薄くなった頭の下にある顔は生気が無い。
頬からあごまでひげで覆われている。
肌は浅黒い。
服装は薄汚れた感じだ。首にはタオルを巻いている。


左手に持ついろはすを見て絶望的になった。
3台並ぶ自販機でそれを売っているのは真ん中の1台だけだった。
「ってことは、私のおつりはあの右手の中にあるわけぇ。どうしよう。
このおじさん、怖いかなぁ。と、とにかくあの自販機のおつりを確かめなきゃ」
ダダダダッ
全力疾走のまま、ホームレスと自販機の間に割って入った。


気圧されて避けるおいといておじさん。
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な、なんなんだ、この娘は。
あっ、ひょっとしてこのつり銭はこの娘の忘れ物か?
どげんしよう? 知らん顔ばしとけばよかやろか。
すげぇ勢いで来たなぁ。困っとっとやろか?
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つり銭口で瑞希の右手はそこに何も無いことを確認した。
「あんたぁ、あたしのお金盗ったやろ!」