ショートストーリー 「夜空に赤々な星」 本文(10)

瑞希の瞳に鬼の光が浮かんでいた。
「今すぐ返して!」
たじろぐおいといておじさん。
拾ったつもりのおつりは、すでにいろはすで130円を使ってしまった。
「その右手に870円持っとぉでしょう」
畳み掛けられて返答に窮するおいといておじさん。
「返さないと大声出すよ!」
娘の鬼の瞳に気付いて恐れをなした。
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この娘、ほんとに声を上げそうだ。
盗ったとじゃなか。拾ったんだって。拾った物は拾ったもんの物なんじゃ。
返そうにも130円使ったからネコババ呼ばわりされるなぁ。
いやいや、わしは盗ったとじゃなか。拾ったんだ。
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「盗ったとじゃなかですぅ。拾ったとですぅ。はいぃ。」
「どっちだって関係なかよ。そのお金はあたしのなんだから、早く返して!」
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あれっ、このホームレス、意外とまともな感じ。
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「返して、言われても、870円はなかとですぅ。」
「えっ。あっ、それ買ったと!?。やっぱネコババしとんしゃる!」
「そげな人聞きの悪かごたる言い方はせんでくださいぃ。はいぃ。」
「ホームレスは拾った物は自分の物ち思っちょりますけん、自由に使ゆっと
ですぅ。だけん、こん金はわしの金なんですぅ、、、、」

「そんなん屁理屈やろもぉ。ただんネコババやなかね!」
「使った130円はいいから残りを返して!」
「ほんなら、聞きますですが、こん金がですよ、あなた様んもんやち証明
でくっとですかぁ? あなた様もネコババするつもりでっしょうが。」

「えぇっ、何よそれ。それ、言い掛かりよ。あたしがおつりを取り忘れたん
だって言っとっとでしょうが。つべこべはやめんしゃい。早く返して!」

「あなた様は、これが無かと困っとですか?」
「え、まぁそうだけど、これから友達に会うのに、それがないと行けんと。」
「やっぱり困っとですね。」
「んなら、こげんせんですか。」
おいといておじさんは仰天プランを持ち出した。



※capからお願い
capは博多人じゃないのでおかしな博多弁になっとぉとじゃなかかち思うんです。
どなたか指摘して正しい博多弁を教えてください。><
よろしくお願いしま〜すm(__)m


写真は鹿屋市に咲く彼岸桜。