ソニック9号で大分へ、その先車で佐伯


博多駅なう。ソニック9号の自由席で発車待ち。車内放送が、「湯布院の森号は運転します。博多駅内でお待ち下さい。」と言った。車内放送にしては不自然な内容だなぁ。だって、もうソニックに乗ってるもん。
湯布院の森号に何かトラブルがあったってことかな。それが復旧したってことなんだろう。
舌っ足らずな放送だなぁ。


ソニック9号は、小倉で折り返して大分へ向かっている。中津を出て次の別府へと速度を上げている。


僕は車内販売のコーヒーを買った。250円。いつもなら高いという思いが買うのをためらわせるのに、今日は何の抵抗も無かった。
一口啜りながら、なぜコーヒーを飲もうと思ったのだろうと考えていた。水を持っているのに。
よおく考えてみたら、思い出した。そう、微かに喉が求めていたような気がする。車内放送のコーヒーという言葉に喉が反応したんだ。


左手に国東半島の霊山群が見えて来た。何やら怪しげに僕の心を鷲掴みにした。先人達の怯えがひそんでいるかのようだ。それほど高くもないのに、険しく抉られた山容が今の僕を拒絶している。


宇佐駅から杵築駅に至る間の紅葉が綺麗だ。国東に怯えた心が嘘のように晴れる。泣いた子どもがもう笑うた。と一人密かに笑う。


コーヒーが終わった。口中に残った酸味が意識を刺激する。不思議に心地良い。
もうすぐ別府だ。