録画の緊急地震警報にビビる夫婦

いつ録画したのか分からないドラマを観ていた時、夫は整理中で散らかっている和室に布団を敷こうとCMの時を見計らってテレビの前を立った。
直後に、チャランポランチャランポランと緊急地震警報音が鳴った。妻は、夫の背中に、「お父さん、やばいよ、地震が来るよ。」と声を掛けた。
更に、「千葉、茨城、えーっと、あっ東京も神奈川も!」と実況する。


えぇっ、ってことは間もなく揺れだすんだな。と身構えた。大きい揺れなら玄関を開けなきゃな。


妻はテレビ画面に目を釘付けにしている。
えっ、千葉北東部震度5弱、神奈川東部震度3っ!


ん?
なんで揺れないんだ〜?


その時、家電(イエデン)が鳴った。
電話に向かう妻。無意識にビデオのリモコンに手を伸ばし、一時停止を押す夫。
テレビの音が消え、妻の声だけが響く。
「はい、もしもし、あぁ、あ、ちょっと待ってね。お父さん、とおる君だよ。来月、博多に行くらしいよ。ほら、代わって。」
促されて、電話を取る夫。
「はい〜、あ〜、とおる君⁉、博多に行くんだって⁈」


「ぷっ、ぁあー」妻が噴き出した様子。
なんだろう、なにがおかしいんだ?
「オッケー、25日ね。じゃあ、またそのあたりになったら今度はケータイにかけてよ。うん、じゃあね、楽しみにしてるよ。博多の友人達を紹介するよ。あ、うん、またね。」


受話器を置いた途端、妻の大笑いが始まった。顔が苦しげにゆがんでいる。久々に見る惚け笑いだ。
夫は、つられ笑いしながら「なんだよ、どうしたんだよ?」
「だって、ほら、テレビ、止まってるじゃないぃ」くしゃくしゃな顔で腹を抱えて妻が応える。


「えっ?」
画面が止まってるテレビ、震度3だというのに揺れなかった我が家。
「あ、あ〜っ!」
「えーっ、ははは、そ、そうだったな〜。」
「揺れるわけないじゃん〜」


そう、冒頭に書いたように、観てたのは、だいぶ前に録画したドラマだったんだ。


ぶはっ、アホな夫婦を演じてしまった。
いかん、いかん。(^^;;