癌と生きる二人の女性

往年のスターが癌で亡くなったというニュースに触れると、あぁ亡くなったのか、人の命って儚いね。って思う。
テレビキャスターが自分は癌ですと宣言して闘う姿勢を見せつつ亡くなると、やはり助からないんだと思う。


バド友が残り半年の命だって医者に宣告されたんだよと悲しげに話してくれ数日後に亡くなった時は、生きたかっただろうなと強く思ったし、あの時気の利いた言葉の一つもかけられなかった自分に幾らかの自責を感じた。


そして昨夜、のんびりと半身浴をしているとめだかと友達同期生のゆりちゃんからメールが飛んで来た。もう2年も行っていないスナックホットタウンが店を畳むと言う。その理由が癌治療の為の入院ということだった。
明日2月29日を最後にするらしい。


外は冷たいみぞれが降っている。
休肝日のつもりだったけど、そんなことは言ってられない。今から行けるんだから行こう。明日は行けないかもしれない。そう思って2年ぶりに顔を出した。


すると、懐かしい馴染みの顔がそこにあった。トーさん、中井さん、ゆりちゃん、ママ。
トーさんは2年前のまんま。中井さんは痩せたようだ。ゆりちゃんは涙している。
そして2年ぶりのcapを非難することもなく温かく迎えてくれた。


そう言えば、中井さんは乳癌の手術をされてもう3年になるんだった。今日は重い空気になってしまうのか?
そう思いながら微笑みを絶やさずみんなの会話を聞いていた。
中井さんが、「あたしね、先生にね、あと7ヶ月以上生きられるか分からないから、その時を迎えるための病院を紹介します。って言われたの。」と微塵の暗さも無くそう言った。そしてママがそれを受けて、「そうそうこん人は死ぬとよ。そしてね、あたしもね7ヶ月と2週間って言われたとよ。二人とも死ぬと。こん人は落ち込んだりするばってんが、あたしはね病院で友達ば作ると。」

cap もすかさず、「ほんなら紅と鏡を持って行かなね。」と言うと皆が大笑いした。


それにしても、この明るさは何だ。


バド友にあと6ヶ月なんだと言われて掛ける言葉もなかったことを話し、「二人を前にどう言えば良いのか言葉を選んでしまう。」と言うと、「なーんも、そげんとは良かとよ。そげん言葉をかけんで欲しか。」とママが応えた。


二人とも死ぬ覚悟を持っているようだった。闘うということではなく、癌と付き合って穏やかに逝く。そんな思いが伝わって来た。


明日も集まろうね。誰からともなく言葉が出て、霙降る冷たい外に出た。


何となく気付いた。
女は現実を受け入れるのが得意。
男は受け入れられずに闘おうとする。
受け入れる女は、心が穏やかな分、実は思った以上に長く生きられる。
男は闘いに敗れて焦燥感の中、宣告より早く逝ってしまう。


死ぬことは自然なことだから受け入れるしかない。
死に行く自分を楽しむくらいでありたい。
そう思った。


さぁ、今日がホットタウン最後の営業日。
また顔出して明るい時を過ごそう!