16:25福岡発 羽田行 ANA260便


B777−200に乗り込んだ。
座席は進行方向右側の窓側41K。
福岡空港を飛び立つと一旦南下し、窓外に雲仙普賢岳阿蘇カルデラ
見える頃、翼は東に翻る。


しばらく行くと久住連峰が低い雲から顔を出しているのが見えて来た。
もうすぐ別府湾に出る。
おっと、その前に、由布岳が夕日に赤く染まっているのを見落としてはいけない。
由布岳は優しくも見え荒々しくも見える。表情豊かな単独峰だ。
赤く染まっているのは紅葉が盛りだからに違いない。
低い雲が無ければ、少し北にアフリカンサファリが見えるのだが、、、


豊後水道を挟んで四国から伸びる佐多岬風力発電の風車の列が見える。
数えてみると20基もある。雲に隠れて見えない物も有るかも知れない。


四国上空は2層の雲に覆われていた。
山々は低く羊が群れたような雲に隠れている。
高い所には淡い羽衣のような薄い雲の層が広がっている。
飛行機はその羽衣の上を巡航している。


うとうとしていたのだが、機内サービスのドリンクが配られる直前に目が覚めた。
まったく、この身は都合よく出来ているもんだ、と苦笑。
コーヒーを頂き、ふと窓外を見ると、飛行機から後方に激しく湧き流れる
白いものに気付いた。
それはまさに、青い空に夢を運ぶ飛行機雲の誕生の瞬間を見ているのだった。
ジェットエンジンがぎゅぅっと圧縮してたぎった空気が吐き出され、膨張し、
そこにあった水を含んだ大気が冷やされ、雲が出来る。
学生時代に学んだ原理が目の前に展開されていた。
一瞬にして気体が固化する、不思議な世界だ。


「あと15分ほどで最終の着陸態勢に入ります。」
機内放送が流れた。
外はもう真っ暗だ。
月でも出ていないかと見回したが、ここからは見えない。


到着予定時刻は17:55。
あと17分だ。
このまま無事に着陸することを祈って、PCの電源を落とすことにする。