JAL3595便 福岡発松山行き

JAL3595便はプロペラ機だった。
SAAB340という機種。定員36名程度。
満席だが、足元も座席の幅も他の機種より幾分ゆったりとした感がある。
機内のアテンダントは、安藤美姫ばりの豪快な頬の持ち主で、頬骨の辺りがつやつやと赤く輝いて健康的だ。
そう言えば、フィギャアスケートシーズンが始まったね。
浅田真央はだいぶ出遅れてしまったけど、16歳の期待の新星・村上佳菜子が輝き始めたのは心強い。
中国大会では安藤美姫が優勝。男子も小塚が優勝した。
日本の層の厚さは男女ともに世界一だろうね。


機内の座席は変則的な配置になっている。
左側は窓席のみの1列。通路を挟んで右側は2列席。
今回の席はその右側の2列の通路側。窓を持たないマイノリティである。
窓の大きさは人の頭より一回り大きい程度。
窓側の人がうたた寝をするという幸運に恵まれない限り、グランドビューを楽しむことは出来ない。
窓側の人の頭の周囲の僅かな隙間から見える遥か彼方の空には、空を上下二つに分ける線がくっきりと浮かんでいる。
その線を境に、上は明るく澄んでいて、下はグレーにくすんでいる。
地上の生物の営みによって発生したガスや塵が空に拡がるのだが、それらが越えられない何かがそこにあるんだろう。
見事なまでに、その線より上はクリアなのだ。
上空に冷たい空気の層が居座っており、空気の熱の対流がそこから上に拡がらないってことかな。


福岡を飛び立って30分ほどで降下し始めた。
クリアな上の層から、濁った下の層への境辺りで、機は大きく揺れた。
下は雲が多い。
雲の層を抜けると、機は安定した。
海面が見えて来た。大型貨物船とその白い航跡が見える。
左側の窓に瀬戸内海の島が大きく見えている。
高度は既に100m程度ではないかな。


前方の両の窓から工場の煙突や配管を巡らせたプラントが、低く見る見る迫ってくる。
気付くとさっきまで自分の左右に見えていた海面が陸地に変わっていた。
間もなく着陸だ。

滑走路の上1m程度を滑るように滑空した後、僅かなショックと共に翼のフラップが上に開いて風切音がごぉーっと鳴り響く。
同時にブレーキがかかって体が前につんのめった。
今日の着陸操縦はお見事でした。