告別式はしめやかに そして涙

戒名:輝道秀海信士 昭和23年生まれ capの10年先輩。
従兄らしく明るい戒名にほっとする感じを持った。
出棺の直前、副葬する花を顔の周りに飾った時、今にも目を開くのではないかと思った。
奥様や娘達は、生前大好きだったビールを湿らせた綿で口元を拭いていた。涙を隠さずに。
83歳の母君は、不思議なことに涙を見せることは無く、口元には常に穏やかな笑みを浮かべていた。
プライドが高く口を突いて出る言葉はいつも自慢話。聞いてる方には自慢話に聞こえるのだが、本人は穏やかに普通のことのように話す。多分自慢話という意識が無いのだろう。
自慢話を心地よく聞く人は少ない。だから彼女の周囲には人が集まらない。そのことだけは少々気になっている様子で、顔を会わせる度に自宅に遊びに来いと言う。
この母君の穏やかな笑みは、capには不思議だった。愛した息子が自分を越して先に向こうへ旅立つというのに。なぜそんなに穏やかでいられるのか。ご主人はcapの子供達にじゃじゃまるじぃちゃんと慕われていた。既に亡くなっている。
母君は一人残されたわけだ。
何だろう、あの笑みは?


故人は酒が好きだった。泥酔して帰ることも多かったと聞く。
明るく、人付き合いがよく、笑顔を絶やさぬ人だった。


酒との切れない生活の中で、糖尿を患い、様々な病を抱えることになった。そして神経が縮退する重い病に。


通夜と告別式に駆けつけた妻君の兄でcapの義兄も酒好きだ。capと二人で顔を合わせて互いに酒とは上手に付き合うことを確認した。


それにしても63歳での旅立ちは早過ぎる。
せめて100まで生きなきゃ。
そして20年上積みして、世界最高年齢にならなきゃ。


葛飾北斎もまずは百まで、そしてそれ以降はその画風を変えるつもりでいたという。
capもまずは百までだな。