雨の匂いに郷愁と心配と

火曜日の朝のこと、マンションを出た瞬間に普段と違う匂いに気づいた。
少しかび臭いが懐かしい匂いだった。心を郷愁に誘う匂いだ。
そしてアプローチが少し濡れているのに気づいた。
そう、雨が降ったのだ。おそらくほんの少し前に少しだけ。


小さい雨滴に叩かれて屋根や木々から舞った埃が、雨がすぐにやんだので路面に落ちることもなく、空中にとどまっていたのだと思う。

僕が嗅いだ匂いは「小雨の埃」の匂いだったのだ。
幼い時、嗅いだ記憶がある。


働き始めてからはこの匂いに気づくことは殆ど無かったんじゃないかな。


ふと、気づいた。
放射能汚染地域では雨の降り始めに外に出ないほうが良い。」
雨の降り始めには汚染物質が空中に舞っているのではないか。
ある程度長く降る雨なら舞った汚染物質は雨に叩かれて路面に落ちる。
雨上がりの空が澄んでいるように、雨後の空に汚染物質は舞っていないと思う。
でも降り始めや、ぱらぱらの小雨は危ないのではないか。
内部被爆の一因なのではないだろうか?


僕が汚染地域に住んでいたら、雨の日は外に出ない。
どうしても出るなら、かなり降った後にする。
家族にもそのように注意する。


でも、もう7ヶ月が過ぎたんだからそれほど気にすることはないのかも知れない。