精神力って何だろう?

僕はこの精神力という言葉が、スポーツにおける勝負の微妙な綾の境地の勝敗分水嶺をあやふやにしていると思う。
精神力という言葉は、勝者の弁にも敗者の弁にも出てくる。
精神力が弱かったとか、精神力で勝ち取ったとかだ。
この場合の精神力とは、強気と弱気のことだろう。
実力が拮抗している時に勝敗を分けるものはこの強気弱気の精神力だろうか?
僕はそうは思わない。
強気が勝った方が勝てるんなら強気というものを鍛えればよい。でも、そもそも強気というものは鍛えることが出来るのか?


強気というのは、その競技における技術や必要な体力を十分に高めたこと、そして実績や経験に裏打ちされた自信、勝つための作戦や戦術を理解し実践できるという自信、自分の強さを信じるメンタルコントロール、そういうものを持っているから沸き上がってくる感情が強気なんだと思う。


弱気は、そういうものが相手の方が上回っているのではないかという不安によるものだと思う。


精神面でいうと、過度の緊張ということもある。緊張すると体がこわばって柔らかく動けなくなるし、筋力も十分に発揮できない。
でも、緊張はほぐすことが出来る。ほぐし方はひとそれぞれである。大声を出すとか、飛び跳ねるとか。これも必要なスキルとして捉えるべきだろう。


精神力が弱いから負けたなんて、簡単に批評しないでほしい。五輪に出る選手たちは弱くないのだ。
負けたのは相手の総合力が上回っていたからなんだ。
だから、どこが劣っていたのかを分析して次に繋げていかなきゃ。


相手に負けたというより、会場の雰囲気に負けたということもあるだろう。それはそれで動じないというメンタルコントロールを身に付けるしかない。