雨の降り始めの香り

■雨の降り始めの香り
今朝のこと
マンションの外に出ると、仄かに黴の匂いがした
雨が降り始めたんだ
折り畳み傘をさし、玄関庇を離れると小粒の雨が傘を小さく叩いた
勢いがある
屋根や道の隅々がこれに叩かれ、匂いが弾き出されているんだ
幼い日の思い出が、短くぼんやりと脳裏に浮かんだ

それが消えると、今度は疑問が湧いた
この匂いの元が黴だとしたら、黴は小雨に反応して胞子を空に放っているのだろうか
小雨なら付近に定着する?
大雨なら流されてしまう?

これは生命の一つのドラマなのかも知れない