安全保障法案が可決された

150716Thu
◆昨日、安全保障法案が特別委員会で可決された。自民・公明による半ば強行採決だっ
た。これをもって本日の衆議院で採決され可決される見通し。

ごくうにはよく分からなくなって来た。
どうも国会における与野党の議論がまともでないと思う。
与党が言う「国民を、国家を守るために必要だ!」ということについてまともに議論し
て欲しいのだ。

安全保障を取り巻く環境が変わって来ているのは誰もが認める事実だが、具体的にどう
なのか。どう変わって来たのか。いつ時点と比べてどう変わったのか?
ここを具体的に議論しないと国民には分からない。

なぜ国民の理解が進まないのかというと、国民の多くは日頃から世界情勢について具体
的にウォッチしていないからだ。出来ないと言った方が良いのかも知れないが。
だから国民は世界の中の日本の現状把握が出来ていない。つまり問題点も理解していな
い。理解しているつもりでも漠然としているはず。
賛成者も反対者も漠然とした現状把握や問題意識で判断しているのかも知れない。

極東アジアにおける日本、日米安保下の日本、エネルギーや食糧を工業原材料を輸入に
頼っている日本、自衛隊の実力、世界の中の欧米、中東情勢、アフリカ情勢、南米情勢
、ロシア、インド、ウクライナ、中国、などなどの現状と近未来予想をもっと議論して
それを国民に知らせるべきだ。

国際平和は日米だけで築けるものではない。
国家間の良好な関係性が基盤になる。良好でなくても相互に不可侵が確認できていれば
それも平和と言える。
今の世界はそういう関係性が築けているのだろうか?
答えは否だろう。

平和主義を唱えているだけでは平和はやって来ないというのは、今の人間社会では真実
だと思う。
人間社会には多様性が有り、日本国内だけでも精神的・思想的多様性が有る。もちろん
貧富や様々な機会の格差も有る。それらからきっかけが生まれて様々な暴力的事件が起
こる。それを鎮めるためには、いくら正論を述べても鎮められるものではなく、やはり
力には力を用いるしかないというのが現実だ。

これが国家間になると、理不尽なきっかけで武力衝突が起こるリスクを否定することは
出来ない。それを回避する現実的な手段は、やはり力を持つことだ。お互いが武力衝突
することのリスクを共有することが大事だ。
だから自衛隊が有る。自衛のための武力使用は国家として当然の権利だ。

では、集団的自衛権の行使というのは何か?
これは、日本が攻撃を受けた時に同盟国と共に反撃するというのではないのだ。
日本ではなく、同盟国が攻撃を受けた場合に同盟国を支援するというものだ。

具体的にどんなことが想定されているのかというと、米が中東に派遣している艦隊が他
国から攻撃され、ホルムズ海峡を機雷で封鎖された時に、自衛隊が出動して機雷掃海を
行うというもの。当然、その他国からの攻撃を受ける危険を伴う。つまり、自衛隊隊員
の生命の危険が有るということになるし、これまでのPKO活動より危険なミッションを
遂行することになる。

また、米中が南沙諸島において武力衝突し、米が日本に支援要請して来たらこれを断れ
ないわけで、当然、戦争に巻き込まれるというリスクを抱えることになる。

ちょっと待てよ。日本の同盟国とは米以外にあるのか?
と思ってネットで調べてみたら、現在同盟国は無いことになっている。
では、政府の言う同盟国とはどの国を指しているのかというと、やはり米である。
ただ、日米安保では集団的自衛権を行使しないことになっているそうだ。
???

この様に矛盾があるのだ。

だから、現状把握して問題点を炙り出して、だから日本はこうした方が良いだろうとい
う分かりやすい議論をして欲しいのだ。そしてそうすることによるリスクも洗い出して
こうするがこういう制限を設けようという風になって欲しい。

110時間かけて与野党が繰り返した議論は結局噛み合わないままだったという印象がある。
合憲か違憲かは拡大解釈なしで真っ当に判断して欲しい。
そのことが真っ当な改憲論に繋がるし、国民の支持も得やすいだろう。
学者が違憲だというのにそれを非難する自民党の姿勢は国民の不信感を煽った。そして
自民党は危険だという感覚が芽生えた。
真っ当な議論をして来なかったからそうなる。

野党もちまちまし過ぎだ。