北方領土返還について 〜ロシア首相択捉島訪問を計画か?というニュースに触れて〜

ロシアのメドヴェージェフ首相が北方領土を訪問する計画らしい。
ロシアは択捉島の開発を進めており、このことと首相が訪問する計画とを併せて考える
に、少なくとも択捉島を日本に返還するつもりは全く無いと断言できる。実効支配を強
めることで国際社会にロシア領であることを強くアピールする狙いだろう。


一方でプーチン大統領北方領土問題は解決できるという姿勢を示しているし、日本と
の東シベリア共同開発(油田や天然ガスパイプラインなど)を含めた経済協力を積極的
に進めている。


この二面性はロシアの戦略であり、北方領土に関しては一部返還してお茶を濁すつもり
だろう。
一部とは、色丹島歯舞群島で、最大限譲って国後島も有り得るかも知れない。択捉島
の返還は無いだろう。


日本政府は択捉島を含めた全返還を求めるべきだが、択捉島を当面除外して三島返還で
落着させ、択捉島有機貸借としてはどうか?
有期の期限は50年でどうか。
そして択捉島開発に日本も積極的に協力するのが良い。
ロシアに対する恨みは大きいが、一気に全面解決を狙うのではなく、世が移ろい、恨み
を持つ世代が居なくなるまで時間を稼ぐのも有意義であると思う。


それにしてもロシアという国は歴史的に領土拡大意識の強い国だ。領土拡大機会にはと
ても貪欲になる。力によるクリミア併合など現在も領土に固執する姿勢は変わらない。
ソ連北方領土を占領したのは日本がポツダム宣言を受諾して10日も後のことだ。戦争
終結していたのに平然と軍を進めた。
抵抗する力の無い敗戦国の領土をこっそりと目立たぬ程度に奪ったのだ。
北海道も手に入れたかったに違いない。
しかしそれはアメリカとの戦いを招くリスクが有ったから手を出さなかったのだろう。
コソ泥と言っていい行為だ。
まぁ、残念ながら世界にはそういう国の方が多いように思えるが。


悪いのはその時の行為なのだ。
行為が事実になってしまうと、その行為に対する批判が生まれる。
行為者はその批判を受け入れるわけにはいかない。
なぜなら、批判を受け入れ認めるということは、その後の自らの人生を失うことに繋が
るかも知れないからだ。


これが国同士のことになると尚更である。
だから、交渉において非難合戦は何の益も生み出さない。逆に交渉を難しくする。
世界を味方につけることは重要だ。だから様々な外交機会で多くの国に支援をお願いす
るのは当然やるべきだ。
そしてロシアには誠意を持って交渉に臨もう。
現実的案を積み重ねて行こう。
一気の解決は無理だというのは世界のリアリティだ。